マルチーズ

　わたくしの家には、本名マルクというトイプードルがおります。このお犬様は、私の下の娘と奥様が一昨年十一月、「ホームセンタームサシ」で売れ残っていたので、買ってきたのでした。体長は四十センチメートルのトイプードルです。トイプードルの中でも小さい方です。体重はニ．四キロです。

　本名はマルクなのですが、私たちも、会社の人たちも「マル」と呼びます。マルの主食はドッグフードなのですが、チーズが好きです。「マル・チーズ」と呼ぶと、すっとんできます。省略すると、「マルチーズ」別の犬種と誤解されます。ここまでが枕です。

　このマルは、お客様、来談者がいらっしゃっても、吠えることはありません。それは、不思議だとドッグスクールの先生から言われます。普通のトイプードルは、お客様が来ると大きな声で吠えるのだそうです。そうしたことが全くありません。

　来談者が来ると、一緒にソファーの上に大人しく座っていたり、時には来談者の膝の上にまるまって寝たりします。その姿に癒されて、自分の心の底に眠っていた苦しい思いが、堰が切れたように、流れ溢れ出すときがあるのです。動物には、人間に喜ばれたいという本能があるみたいです。

　これから、ドッグスクールの先生と老人介護施設の、セラピー犬として伺う計画があります。一人でも多くのご老人を癒すことができれば、マルの格が向上していくと思います。

　マルは、チョコレート色です。夜は、私の掛布団の上の中心にまるまって眠っています。知らない人たちが見たら、それは、全く茶色の毛玉にしか見えないでしょう。私が顔を近づけると、茶色の毛玉の中に、それも茶色の目玉がパチッと開き、その中に白目が、チロッと動くのを見ると、なんとも幸せです。